納期があるのに手が動かない。これ、私の中では“品質が混ざってる”だけだった-v05

やり直し上等研究室memoru

引き受けた。
納期がある。
やらなければ終わらない。

なのに、手が動かない。

気が重い。後回しにする。
ずっと気になる。
「明日やろう」と言いながら、頭の片隅ではずっと焦っている。

そして、ぎりぎりで着手する。
やってみたら、案外すぐ終わる。

この現象を、前はずっと性格の問題だと思っていた。

  • 怠けている
  • 覚悟が足りない
  • 仕事として割り切れていない

でも、違った。

これは、やる気の問題ではない。
能力の問題でもない。
もっと単純だった。

品質が混ざっている。

納品の作業に、展示会の基準を持ち込むと重くなる

やりたくない。
面倒くさい。
腰が重い。

その正体を分解すると、「作業量が多い」だけではない。

たぶん、こういうものが混ざっている。

  • ちゃんとやりたい
  • きれいにまとめたい
  • 失敗したくない
  • 相手に恥をかかせたくない
  • 自分の理想に届かせたい

ここで起きていることは明快だ。

納期のある作業なのに、頭の中では“作品”として扱っている。

それは重い。
重くて当然。

提出物に、展示会レベルの美意識を乗せれば、開始コストは跳ね上がる。
しかも本人は「丁寧にやろうとしているだけ」と思っているので、余計に気づきにくい。

言い方を変える。

自分でダンベルを追加してから、重いと言っている。

動けないのは、意志が弱いからではない。
設定が重すぎるからだ。

分けるべきなのは、能力ではなく品質基準

混線をほどくには、気合いではなく分類がいる。

品質を二本立てにする。

納品品質

  • 期限内に出せる
  • 相手が困らない
  • 目的を果たす
  • 80点で合格

展示会品質

  • 自分の美意識が納得する
  • 磨けるだけ磨く
  • 試す
  • 詰める
  • 沼っていい

この二つは、どちらが上という話ではない。
役割が違う。

問題は、納品品質で終えるべきものを、展示会品質で処理しようとすること。
すると、着手前から息が詰まる。

逆に、最初にこう決めるだけでかなり楽になる。

今日のこれは、納品品質で出す。
展示会品質は、本命の場所でやる。

これだけで、作業の意味が整理される。

「やりたくない」のではなく、奪われたくない

さらに厄介なのは、ここに“本命”が絡むことだ。

本当はやりたいものがある。
時間をかけたい対象がある。
自分の美意識を注ぎたい場所がある。

だから、納期のある仕事に時間を取られると、内側でこう感じやすい。

それに、私の本命の時間を使うのか。

このとき、人は「私は逃げている」と解釈しがちだ。
でも、実際に起きているのは、もう少し構造的だ。

逃げているというより、

  • 本命を守りたい気持ち
  • 現実の納期を守る必要

この二つが、同じ場所で衝突している。

つまりこれは、甘えではない。
価値の衝突だ。

しかも、品質基準まで混ざっている。
苦しくならないほうがおかしい。

解決策は「がんばる」ではなく「開始の摩擦を下げる」

ここで必要なのは、立派な気合いではない。

やるべきなのは、開始の摩擦を下げることだけ。

今日の手順

  1. まず「納品品質」か「展示会品質」かを宣言する
  2. 机に座る
  3. いちばん小さい一手だけやる
  4. ファイルを開く
  5. 道具を1つ出す
  6. 1行だけ書く

続けるかどうかは、その後で決めればいい。

大事なのは、進捗の立派さではない。
開始できたかどうかだ。

止まる人は、いきなり「進める」にしようとする。
だから重い。

でも本当は、そこで必要なのは「進める」ではなく、

開始だけ成功させる

これで十分。

雑にしないために必要なのは、全部を磨くことではない

ここで誤解しやすいことがある。

納品品質にする、というのは、手を抜くことではない。
雑にすることでもない。

役割に合わせて、要求水準を正しく設定することだ。

全部を展示会品質にしない。
本命に展示会品質を残しておく。
それ以外は、納品品質で確実に終わらせる。

この区別があると、手が動く。
しかも、本命まで守れる。

全部に全力を注ぐのは、美しいようでいて、実務では詰まりやすい。
全部を展示会にすると、人生が渋滞する。

必要なのは、熱意の増量ではない。
基準の切り分けだ。

最後に、自分へ置く問い

今日あなたが抱えているその作業は、
本当に“展示会品質”が必要ですか。

それとも、
納品品質で十分なものに、余計な重さを足していませんか。

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