「また途中で違うことを始めてしまいました……」
研究生がそうおっしゃいました。
そこで私は、少々気になりましてね。
「それは、何回目くらいのことでしょう?」
「たぶん……何百回もです」
なるほど。
どうやら、なかなか興味深い案件のようです。
私は長いこと、
自分のことを
「落ち着きのない人間」
だと思っていました。
興味が増える。
話題が飛ぶ。
道具が増える。
ノートが増える。
気が付けば別のことを始めている。
そして、
「また駄目だった」
と肩を落とす。
そんなことの繰り返しでした。
ところがある日、
思いもよらない結論に行き着いたのです。
私は故障していたわけではありませんでした。
単に、そういう仕様だったのです。
高校時代、
文化祭実行委員会副会長。
図書委員。
演劇部。
舞台監督。
担任の先生には、
「お前、どこにでもいるなー」と言われていました。
大人になってからも同じです。
パタンナー。
お直し。
ブログ。
相談室。
PDF資料。
クラフトバンド。
気が付けば、
技術と知識と作品の三部署を同時に運営していました。
私はずっと、
一つに絞れない自分を何とか修正しようとしていました。
ところが振り返ってみると、
そもそも最初から、
一つに絞るようには設計されていなかったのです!発見です。
そこで私は、
自分専用の取扱説明書を作ることにしました。
その最初のページには、
こう記されています。
「異常ではない。
何ら故障ではない。
これはすべて仕様である。」そもそもそのように作れているのだから。
もっとも、
仕様だから何をしても構わない、
という話ではありません。
飛ぶのであれば帰る場所を作る。
広げるのであれば舞台袖を作る。
全部が水浸しになったなら、一度帰還する。
それが運用というものです。
不思議なことに、
「故障」だと思っていた頃よりも、
「仕様」だと理解した今の方が、
ずっと気が楽なのです。
直すべき自分ではなく、
理解すべき自分になったからでしょう。
研究生へ。
もしあなたが、
「どうして私はこうなんだろう」
と落ち込んでいるのなら、
一度だけ考えてみてください。
それは本当に故障なのでしょうか。
もしかすると、
まだ解読されていない仕様なのかもしれません。
今日の研究結果。
故障だと思ったら、仕様だった。
そして仕様が分かれば、
人生という乗り物は、
ほんの少し運転しやすくなるものです。

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