技術室06|試着が9割

技術室お悩み事

―― 服づくりが止まる本当の理由は、縫製じゃない

研究生のひとこと
「まだ縫ってないのに、もう違和感があります」


布を裁った。
縫い始めた。
なのに、どこか落ち着かない。

多くの人が、この時点でこう考えます。

「縫い方が悪いのかも」
「もっと丁寧に縫わないと」

でも、研究室では違う見方をします。

それ、縫製の問題じゃありません。


服づくりは「縫う前」にほぼ決まっている

結論から言います。

服づくりは、試着で9割が決まります。

縫製は、
決まったことを固定する作業にすぎません。

  • どこに違和感が出ているか
  • どの位置がズレているか
  • どこを直せば全体が動くか

それを教えてくれるのが、試着です。


試着を「確認」だと思っていませんか?

多くの研究生は、試着をこう扱っています。

  • 一通り縫ってから着る
  • サイズが合っているかを見る
  • 仕上がりをチェックする

これは 確認 です。

でも本来、試着は

判断するための作業

確認ではなく、
次に何を直すかを決める工程です。


試着しないと起きる典型的な迷子状態

  • 脇がつっぱる → 袖を疑う
  • 首が苦しい → 衿を疑う
  • 後ろが落ち着かない → 背中を削る
  • 座ると苦しい → ゆとりを足す

でも実際は、

原因は、もっと手前にあることがほとんど。

試着で
「体と服の関係」を見ていないと、
直す場所を外し続けます。


研究室の試着は、ここを見る

研究室では、試着で以下を見ます。

  • 服は、体のどこに乗っているか
  • 重さは、どこで支えられているか
  • 動いたとき、どこが引っ張られるか

これを見ずに縫うと、

直しているのに、
どんどん分からなくなる

という状態に入ります。


まひろの判断(この1回だけ)

「縫う前に、判断できていないと、縫うほど迷います。」

研究生は、はっとします。

「……縫うのが怖かったんじゃなくて、
判断できないまま進むのが怖かったんですね」


試着は「戻るため」じゃない

試着というと、

  • またほどくのが嫌
  • 時間がかかる
  • 面倒

そう思われがちです。

でも実際は逆。

試着しない方が、
ほどく回数は増えます。

試着は
戻るための作業ではなく、
無駄に進まないための作業です。


試着で決めるのは、たった3つ

全部を見る必要はありません。

  1. どこがズレているか
  2. どこを直せば全体が変わるか
  3. 今回は、どこをやらないか

これが決まれば、
縫製は迷いません。


研究室メモ

試着は、
完成度を上げる工程ではない。
判断力を上げる工程だ。


次につながる読み物

  • ▶︎ 事件編:立っているときれいなのに、座ると別人
  • ▶︎ 思考編:直す順番が違うと、全部ムダになる
  • ▶︎ 診断編:背中(後ろ身頃)が服を決める理由

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