―― 服づくりが止まる本当の理由は、縫製じゃない
研究生のひとこと
「まだ縫ってないのに、もう違和感があります」
布を裁った。
縫い始めた。
なのに、どこか落ち着かない。
多くの人が、この時点でこう考えます。
「縫い方が悪いのかも」
「もっと丁寧に縫わないと」
でも、研究室では違う見方をします。
それ、縫製の問題じゃありません。
服づくりは「縫う前」にほぼ決まっている
結論から言います。
服づくりは、試着で9割が決まります。
縫製は、
決まったことを固定する作業にすぎません。
- どこに違和感が出ているか
- どの位置がズレているか
- どこを直せば全体が動くか
それを教えてくれるのが、試着です。
試着を「確認」だと思っていませんか?
多くの研究生は、試着をこう扱っています。
- 一通り縫ってから着る
- サイズが合っているかを見る
- 仕上がりをチェックする
これは 確認 です。
でも本来、試着は
判断するための作業。
確認ではなく、
次に何を直すかを決める工程です。
試着しないと起きる典型的な迷子状態
- 脇がつっぱる → 袖を疑う
- 首が苦しい → 衿を疑う
- 後ろが落ち着かない → 背中を削る
- 座ると苦しい → ゆとりを足す
でも実際は、
原因は、もっと手前にあることがほとんど。
試着で
「体と服の関係」を見ていないと、
直す場所を外し続けます。
研究室の試着は、ここを見る
研究室では、試着で以下を見ます。
- 服は、体のどこに乗っているか
- 重さは、どこで支えられているか
- 動いたとき、どこが引っ張られるか
これを見ずに縫うと、
直しているのに、
どんどん分からなくなる
という状態に入ります。
まひろの判断(この1回だけ)
「縫う前に、判断できていないと、縫うほど迷います。」
研究生は、はっとします。
「……縫うのが怖かったんじゃなくて、
判断できないまま進むのが怖かったんですね」
試着は「戻るため」じゃない
試着というと、
- またほどくのが嫌
- 時間がかかる
- 面倒
そう思われがちです。
でも実際は逆。
試着しない方が、
ほどく回数は増えます。
試着は
戻るための作業ではなく、
無駄に進まないための作業です。
試着で決めるのは、たった3つ
全部を見る必要はありません。
- どこがズレているか
- どこを直せば全体が変わるか
- 今回は、どこをやらないか
これが決まれば、
縫製は迷いません。
研究室メモ
試着は、
完成度を上げる工程ではない。
判断力を上げる工程だ。
次につながる読み物
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- ▶︎ 思考編:直す順番が違うと、全部ムダになる
- ▶︎ 診断編:背中(後ろ身頃)が服を決める理由

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