初めてお直しのお店にお願いするときは、少し勇気がいります。
「こんなこと頼んでいいのかな」
「うまく説明できなかったらどうしよう」
「専門用語を知らないと迷惑かな」
そんなふうに感じる人は、少なくありません。
でも、安心してください。
お直しを頼むときにいちばん大事なのは、難しい言葉を知っていることではありません。
大事なのは、何に困っていて、どう着たいのかを伝えることです。
今回は、初めてのお店でも希望が伝わりやすくなるように、持ち込む前に整理しておくとよいことをまとめます。
まず大事なのは「どう直したいか」より「何に困っているか」
お直しを頼むとき、つい「3cm短くしてください」「ここを細くしてください」と、加工内容から話し始めたくなることがあります。
もちろんそれも大事です。
でも、その前に伝えたいのが着たときの困りごとです。
- 丈が長くて階段で踏んでしまう
- 座るとお腹まわりが苦しい
- 歩くとスカートが回る
- 袖が長くて作業しにくい
- パンツの裾が靴にたまる
- 脇がつっぱって腕が上げにくい
こうした情報は、仕上がりを考えるうえでとても大切です。
同じ「丈詰め」でも、見た目をすっきりさせたいのか、歩きやすくしたいのか、仕事中に邪魔だからなのかで、ちょうどいい仕上がりは変わります。
だからまずは、
どこが困るのか
どんな場面で困るのか
を言葉にして持っていくと、希望が伝わりやすくなります。
持ち込むときに、いっしょに用意したいもの
直したい服
基本になるものです。できれば洗濯済みで、ふだん着る状態に近いと確認しやすくなります。
合わせる靴
パンツ丈、スカート丈、ワンピース丈は、靴で見え方が変わります。特に裾上げは、どの靴で履くかがとても重要です。
普段合わせるインナーやベルト
ウエスト位置や着心地は、インナーやベルトでも変わります。ふだん実際に合わせるものがあるなら、それも伝えると親切です。
仮に留めた見本
「このくらい短くしたい」「このくらい細くしたい」という目安があるなら、安全ピンやクリップで仮に留めて見せる方法もあります。数字だけで伝えるより、見た目の共有がしやすくなります。
店頭で伝えるときのポイント
1. どこが困っているか
- 裾を踏みます
- 座ると苦しいです
- 腕が上がりにくいです
- 背中が引っぱられます
2. どんなときに困るか
- 通勤で歩くとき
- 階段の上り下り
- デスクワーク中
- 自転車に乗るとき
- 発表会や舞台で動くとき
3. どんな仕上がりが理想か
- すっきり見せたい
- 動きやすさを優先したい
- 仕事で使いやすくしたい
- きれいめの印象は残したい
- 元のデザインはなるべく変えたくない
4. 絶対に避けたいこと
これはとても大事です。
- 短くなりすぎるのは嫌
- ぴったりしすぎるのは困る
- 元の裾の雰囲気は残したい
- 飾りやステッチはできればそのままがいい
こうした「避けたいこと」を先に伝えておくと、仕上がりのズレを防ぎやすくなります。
いきなり全部の用語を覚える必要はありません。まずは、お店でよく出やすい言葉だけ図で見ておくと安心です。
用語ミニ図解|まずはここだけわかれば大丈夫
トップス
- 着丈:服全体の長さ
- 身幅:胴まわりの幅
- 袖丈:袖の長さ
パンツ
- ウエスト:腰まわり
- 股上:ウエストから股までの深さ
- 渡り:太ももまわりのゆとり
- 裾幅:裾の横幅
言葉があいまいでも大丈夫です。まずは「このへんです」と場所を示せれば、かなり伝わりやすくなります。
よく出てくる言葉を、やさしく言うと
丈詰め たけつめ
長さを短くすることです。スカート丈、パンツ丈、袖丈、着丈などに使います。
裾上げ すそあげ
主にパンツやスカートの裾を短くするお直しです。日常では「丈詰め」と近い意味で使われることも多いです。
幅詰め はばつめ
横幅を細くすることです。身幅、袖幅、ウエスト、ヒップ、パンツの裾幅などに使います。
出し/詰め だし/つめ
大きくするのが「出し」、小さくするのが「詰め」です。たとえばウエストを広げるなら「ウエスト出し」、細くするなら「ウエスト詰め」です。
*「丈出し(たけだし)」「丈詰め(たけつめ)」というと、トップスやボトムスの裾を長くしたり短く調整する意味にも使います
着丈 きたけ
服全体の縦の長さです。トップスやコートの長さを表すときによく使います。
後ろの首のところ、後ろ身頃のネックポイントが起点になります。
正確には型紙(設計)上のポイントになりますが、実際の洋服になるとアイテムによっては襟ぐりが大きく開いていることもあるので、後ろの衿ぐりの中心で測ります。
(または、サイドネックポイント(首の横)肩の縫い目の位置を目安にして測る場合もあります)
袖丈 そでたけ
袖の長さです。肩の縫い目を基準に袖の長さを測ります。
注)真っ直ぐ下に測る場合と親指側に寄せて測る2種類があります
身幅 みはば
服の胴まわりの幅です。
ヒップ
お尻まわりの寸法です。
股上 またがみ
パンツの、ウエストから股のところまでの深さです。
渡り わたり
パンツの太ももまわりのゆとりに関係する部分です。
言葉があいまいでも大丈夫です。大切なのは、どの部分のことを言っているかが伝わることです。
測り方は「数字だけで決めない」がコツ
「何cm短くしたいか、測っていった方がいいですか?」と聞かれることがあります。
答えは、数字は目安として役立つけれど、数字だけで決めすぎないほうがよいです。
服は平らな紙ではなく、身体に着て動くものです。
- 生地の厚み
- 裾の幅
- 靴の高さ
- ウエスト位置
- 立ったときと座ったときの差
- 体の前後差
こうした条件で、同じ3cmでも見え方や着心地が変わります。
自分で測った数字は持っていって大丈夫です。
でも、数字だけを正解にしすぎないことが大切です。
できれば実際に着た状態で見てもらうと、仕上がりのズレが少なくなります。
伝わりやすい頼み方の例
パンツの裾上げ
伝わりにくい例
「2cm短くしてください」
…実際に着用した2cmなのか、他のパンツの股下(またした)寸法を参考にしただけなのか。短くしてしまうと元に戻せません。お直し屋さんは不安になります。本当にいいですか?と。
伝わりやすい例
「この靴で履くと裾が少したまります。床にはつけたくないです。すっきり見せたいけれど、短すぎる感じにはしたくありません」
スカート丈の相談
伝わりにくい例
「ちょうどよくしてください」
伝わりやすい例
「座ったときに上がりすぎるのが気になります。立ったときは膝が少し隠れるくらいが希望です」
ウエスト調整
伝わりにくい例
「ウエストを詰めてください」
伝わりやすい例
「立っているときは大丈夫ですが、歩くと下がります。きつくなるのは困るので、落ちにくくしたいです」
身幅調整
伝わりにくい例
「細くしてください」
伝わりやすい例
「全体に大きく見えるのが気になります。でも腕は動かしたいので、脇が苦しくならない範囲で少しすっきり見せたいです」
初めてのお店ほど、「わからない」と言って大丈夫
初めてのお店に行くと、「こんなこと聞いたら変かな」「知らないと思われたら恥ずかしい」と感じることがあります。
でも、本当に大丈夫です。
むしろ中途半端にわかったふりをするより、
- 用語はわからないです
- ただ、ここが困っています
- こういうふうに着られたら助かります
- これは残したいです
と伝えたほうが、話は進みやすいことが多いです。
お直しは、服を切ったりほどいたりする仕事です。やり直しに限界がある場合もあります。だからこそ、最初の共有がとても大切になります。
完璧に説明しようとしなくて大丈夫です。まずは困っていることを具体的に伝えるところから始めれば十分です。
持ち込み前チェックリスト
- 直したい服を用意した
- 合わせる靴を決めた
- どこが困るか言える
- どんな場面で困るか言える
- 理想の長さや見え方を考えた
- 避けたいことを整理した
- 可能なら写真を撮った
- 可能なら仮留めで目安を作った
- ベルトをするならベルトもお持ちください。ウエストの位置で3cmくらい変わります
店頭でそのまま言える一言
- 「専門用語はわからないのですが、着るとここが困っています」
- 「この靴で履くので、丈感を見てもらえますか」
- 「見た目も大事ですが、今回は動きやすさを優先したいです」
- 「短くなりすぎるのは避けたいです」
- 「元の雰囲気はなるべく残したいです」
困りごとは、一緒にほどいていけば大丈夫です
お直し屋さんに行くとき、最初から専門用語で正しく説明しようとしなくても大丈夫です。
「丈詰め」「幅出し」「肩線」「袖ぐり」などの言葉を知らなくても、まずは困っていることをそのまま伝えてください。
困りごとは、最初から正しい言葉で出てこないことが多いからです。
「なんとなく着にくい」
「ここが気になる」
「前はいいけれど、後ろが変」
「座ると苦しい」
「長い気がするけれど、どこを直せばいいのかわからない」
そんな言葉からで十分です。
お直しを受ける側は、その言葉を一緒にほどいていきます。
まずは、
「気になりますよね」
「着にくいんですね」
と受け止める。
次に、
どこが、いつ、どう困るのかを一緒に見ます。
そして、
「つまり、丈そのものより、靴に当たるのが困るんですね」
「首が詰まるというより、前に引っ張られている感じですね」
というように、困りごとの正体を少しずつ言葉にしていきます。
そのうえで、
「方法は2つあります」
「きれいに直す方法と、費用を抑える方法があります」
と選択肢をお伝えし、最後に、
「今回は、こちらが一番合うと思います」
と判断します。
共感して、観察して、翻訳して、提案して、判断する。
この順番なら、お客様を置いていかずに、専門的な判断もできます。
お直しは、専門用語を言い当てる場所ではありません。
困りごとを、一緒にほどいていく場所です。
うまく言えなくても、大丈夫です。
「どこが気になるのか」から、一緒に見ていきましょう。
まとめ
困りごとは、一緒にほどいていけば大丈夫です
お直し屋さんに行くとき、最初から専門用語で正しく説明しようとしなくても大丈夫です。
困りごとは、最初から正しい言葉で出てこないことが多いからです。
「なんとなく着にくい」
「ここが気になる」
「前はいいけれど、後ろが変」
「座ると苦しい」
そんな言葉からで十分です。
お直しを受ける側は、その言葉を一緒にほどいていきます。
共感して、観察して、翻訳して、提案して、最後に判断する。
「気になりますよね」
「どの場面で困りますか?」
「つまり、丈そのものより、靴に当たるのが困るんですね」
「方法は2つあります」
「今回は、こちらが一番合うと思います」
この順番なら、お客様を置いていかずに、専門的な判断もできます。
お直しは、専門用語を言い当てる場所ではなく、困りごとを一緒にほどいていく場所です。
お直しを頼むときにいちばん大事なのは、専門用語をたくさん知っていることではありません。
大切なのは、
- どこに困っているか
- どんな場面で困るか
- どう着たいか
- 何は避けたいか
を伝えることです。
できれば、
- 合わせる靴
- 普段使う条件
- 写真
- 仮留めの見本
一緒に用意すると、希望が伝わりやすくなります。
初めてのお店は緊張するものです。
でも、「うまく言えないから行けない」で止まらなくて大丈夫です。
言い方が不安な人ほど、まずは症状を話すところから始めてみてください。
もちろん、「ズボンの丈を詰めてください。股下72cmで」「5センチ短くしてください(詰めてください)」でも大丈夫です。
「ボタンが取れてしまったのでつけてもらえませんか」
*病院でお医者さんに症状を伝えるように、お話してみてください。プロがいるお店では、お直しが可能な範囲で一番最適な案をご提案してくださるでしょう。
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